姉さんたち、こんなことさせて何をしたいんだろう……。

 そんな疑問を持ちながら俺はきちんとウィッグを被る。

 おぼつかない手でウィッグを装着させ、何とか様になるようにはする。

 姿見で自分の姿を確認するも、男らしさは隠せてはなくて痛い奴に見える。

 はぁ……澪の男装姿見たらすぐに脱ごう。

 俺はそう思い、部屋を出ようと玄関を開けた。

「やっぱり女装させて正解だったわね。一瞬妹が出来たかと思ったわ。」

 ……何が正解なんだろうか。

「玲姉さん、皮肉にしか聞こえないんだけど。」

 ドアの近くには壁にもたれかかっている玲姉さんがいて、こっちを見て不敵な笑みを漏らしている。

 それが……なんだか嫌な予感がした。

「姉さん、何の用?」

 嫌な予感が当たらないように心から願いながら姉さんを見据えると、姉さんは不敵な笑みのままこう言った。

「完璧な女装を目指すならメイクもばっちりしなくちゃね。」

「メイクなんてしなくていいのに。」

 別にこっちは女装したいわけじゃないんだから、そこまで徹底しないでほしい。