姉さんに呼ばれて来た、けどこの状況から逃げ出したい。

 それは何故かというと……。

「じゃ環、これに着替えてきて?」

「え、嫌なんだけど。」

 そう言って無理やり手渡されたのは女装用の服。

 姉さんたち、ついに俺に女装させようと……。

 嫌だって言ったし、絶対に着替えないつもり……だったけど。

「澪ちゃんにも男装させるから、お願い!」

 ……澪を引き合いに出されたら、断れないじゃん。

 姉さんたちは澪を出すことで俺が言うことを分かっているため、余計にタチが悪い。

 俺は小さく息を吐いて、渋々了承した。

「分かった。だけど今回だけだからね。」

 俺はそう忠告し、自分に部屋に再度戻る。

 手渡された服はフェミニンな系統の服で、しっかりウィッグも用意してある。

 男がこんな服着たって何が良いんだろう、と思いながら慣れない女ものの服を着た。

 うわ、サイズぴったり……。

 サイズを先読みしたんじゃないかと思うくらい丁度良く、自分の体にフィットしていた。

 姉さんたちは服関係の勉強をしてるわけじゃないのに、何でこんな……。