「環君、だ、抱き着くのはいつでもできるから、ね?」

 ぎこちなくそう言うと、環君は少しだけうーんと唸った後渋々といった様子で離してくれた。

 よ、良かった……私の心臓、恥ずかしさで爆発するかと思ったし……。

 ほっと安心して胸を撫でおろして中に入らせてもらおうとした時、環君のこんな声が聞こえた。

「その代わり、次は澪からぎゅってしてね?」

「……っ、へっ!?」

 つ、次は私からってそんなのいつになるか分からない、のに……。

 そう思ったけど話してもらえただけありがたいと思わなきゃ、と無理やり納得して私は環君の家にお邪魔させてもらった。



 キッチンダイニングに案内されてお姉ちゃんの隣に座る。

 環君はというと……。

『女同士の話するから自分の部屋行ってて!』

 と珠梨さんに言われて、今は二階にいる。

 そして私はというと……。

「あーもう!澪ちゃん可愛すぎ!」

 珠梨さんにこれでもかと言うほど撫でられています……。

 や、やることが環君と似てる気がする……。