もうちょっとだけなら……良かったかな?

 一人でそんな考えを持って提案をしようとした時、環君のとげのある声が頭上から聞こえた。

「澪をぎゅってするのは俺だけでいいの。姉さんに付き合わせてたら、澪が可哀想だよ。」

 なんかお姉ちゃんも似たようなこと言ってた気がするけど……一体どういうことなんだろうか。

 そこまで考えたとき、玄関からもう一つの声が聞こえた。

「珠梨も環も何やってるのよ。莉緒と澪ちゃんが可哀想でしょ。」

 誰だろう?と思い声のしたほうに視線を向けると、そこには綺麗な女の人がため息を吐いて立っていた。

 きっとこの人が、お姉ちゃんが言ってた玲さん?なのかな?

「玲姉さんは固いなー。この状況を楽しむってことを何でしないのよ。」

「楽しむも何も、玄関先でそんなことしてたらあんたたちは良いだろうけど莉緒たちが可哀想じゃない。環も、澪ちゃんを離してあげなさい。」

「え?嫌。」

 い、嫌って……そ、そこまであからさまに拒否をしなくても……。

 だけどこれじゃあ玲さんが可哀想だし、私も身動き取れないし……。