冷酷少女の複雑な恋模様

 あ、お姉さんにちゃんと挨拶しなきゃ……!

 後この前の誤解のことも一応謝っておかなきゃ……。

 そう考えて挨拶をしようと口を開いたとき、突然視界が真っ暗になった。

「……!?」

 急なことで理解するのが一瞬遅れたけど、しばらくしてからようやく抱き着かれていることに気付いた。

「あー可愛い!澪ちゃんめっちゃ可愛い!莉緒何でもっと早く紹介してくれなかったのよ!」

 驚いている私をよそにそんな抗議するような声が聞こえる。

 抱き着かれているせいで環君のお姉さんがどんな表情をしているかは分からないけど、ちょっとだけ不機嫌そうにしているのはなんとなく分かった。

 それに対しお姉ちゃんはいつもの感じでさっと躱した。

「紹介する機会なんてなかったんだから仕方ないじゃない。それにあんたに会わせたら澪がなんか可哀想だったし。」

「莉緒酷くない!?」

 うーん……何かお姉ちゃんのキャラが若干違う気がするけど、きっと環君のお姉さんといる時はこんな調子なんだろう。

 だ、だけど……。

「あのー……離して、くれませんか?」