冷酷少女の複雑な恋模様

 だけどこのお願いを聞かないとジュースの借りを返せないかもしれない。

 か、返せないのも嫌だ……っ!

 でもそんなのできる度胸なんて……。

 そんな葛藤を一人でしてあたふたと慌てる。

 ど、どうしよう……このままじゃ……!

 その時、この前の出来事をふっと思い出した。

 環君からキス、してくれたんだから……私も、返さなきゃダメ、だよね……。

 恥ずかしさなんてたくさんある。だけど……私も伝えたい。

 借りだから、じゃなくてちゃんと好きってことを。

 環君は伝えてくれたんだから、私もしなきゃ……。

「た、環君……目、瞑ってて……?」

 これくらいは妥協してもらわないと私だってできない。

 環君は私がすると思ってなかったのか驚いた様子で私を見ている。

「澪、無理しなくていいよ……?」

 そう聞かれたけど、私は首を左右に振る。

 するって決めたんだからさせてほしい。

 じっとそんな気持ちを込めて環君を見ていると、その気持ちが伝わったのか環君はゆっくりと目を閉じた。