冷酷少女の複雑な恋模様

 陽が大分傾いてきて辺りがオレンジ色に染まる頃、環君にこんな提案をされた。

「澪、観覧車乗らない?」

「観覧車?……乗りたい!」

 観覧車なんて乗る機会早々ないから私はすぐに頷いて観覧車に向かった。

 環君もにこにこしたまま後からついてきて、二人で観覧車を待つ。

 遠くから見るのにも大きいから近くで見ると凄く大きくなるなぁ……。

 ゴンドラも色とりどりでとても綺麗。

「澪、観覧車初めて?」

 隣から環君がそう聞いてきて勢いよく頷く。

 テレビでは見たことあるけど実際に乗るのは初めてだから……柄にもなくワクワクしている。

「そっか。……やっぱり連れてきて良かった。」

 隣で環君はぼそっと何かを呟いたけど、観覧車にはしゃいでいた私は気付かなかった。



 ようやく順番が来て二人でゴンドラに乗り込む。

 乗る時ゴンドラが動いたままだったから、怖かったけど環君がエスコートしてくれたおかげで無事に乗ることが出来た。

 ガシャンという音と共にドアが閉まり、完全な密室になる。