冷酷少女の複雑な恋模様

「はい、澪。」

「え、あ、ありがとう……。」

 いつの間に買ったのか環君は冷たいぶどうジュースを手渡してくれる。

 申し訳ない……と思いながら受け取る。

「環君……これいくらしたの?」

 流石に自分の分くらい自分で買うのに……。

 そう言ってみるも、環君はふっと微笑むだけだ。

「そんなの気にしなくていいよ。澪は受け取ってくれるだけでいいんだから。」

 うーん……いや、何かそれは嫌なんだけど。

「いや、払う!」

「もう、良いって言ってるのに。」

「いーや、払わせて!」

 一向に引く様子のない私に環君が苦笑いを零している。

 そんな顔しても私は引かないからね!絶対!

 私が何回もそう言って環君に訴えていると、ついに環君が大きく息を吐いた。

「はぁ……じゃあ、お金で払うんじゃなくて俺のお願い聞いて?」

 お願い、かぁ……。何か腑に落ちない部分もあるけどまだ払わせてくれないよりはマシかもしれない。

「分かった……。」

 すこし不満に思いながらも私は渋々了承した。