ふ、不意打ちは……ズルだって……っ。

 その言葉のせいで顔に熱が集中していくけど、環君はお構いなしに言葉を続ける。

「いつも可愛いけど、今日は一段と可愛い。……あーあ、閉じ込めちゃいたい。」

 最後のほうは聞こえなかったけど、可愛いなんて単語を連発されたら流石に心臓に悪い……。

「……も、もう早く行こ!」

 私はそんな甘い言葉と甘い雰囲気を出す環君に耐えきれず、強引に駅の中へと引っ張って行った。



 や、やっと着いた……。

 電車を降りて目的の駅に降りる。

 私は無事に駅に着いたことに安堵してほっと胸を撫でおろした。

 長い時間乗っていたわけでもないのに、こんなに緊張するのはきっとこの私の隣に立っている人のせい。

 あ、あれは恥ずかしかった……。

 電車に乗ってしばらくした時に、環君が肩にもたれかかってきてそのままでここまで乗ってきた。

 公共の場では恥ずかしいことこの上ない。

 降りた後に環君に言ってみても華麗に躱されてしまい、話にならなかった。

 あんな……捨てられた子犬みたいな顔で見つめられたら強くは言えない……!