「でもその待ち合わせしてる人、ここにはいないじゃん。」

 た、確かにそうだけど……まだ会えてないだけだし!

 今探してる最中なんだから……!

 そう言おうと口を開くも痛さでまともに反論できない。

 ……本当に、どうしよう。

 誰か、助けて……っ。

 ――環君……っ!

 そう強く心から願うと、突然腕の痛みが消えた。

 代わりに引き寄せられて、後ろに隠させる。

「た、環君……。」

「ごめんね、遅くなって。」

 環君はこっちを向くと、困ったような笑みを浮かべた。

 私がこんなことになったのが悪いんだし、環君は何も悪くない。

「で、お前らは俺の彼女に何してくれたのかな?」

 お礼と謝罪を口にしようとした時、私の耳にそんなドスの利いた言葉が届いた。

 ……え、今の環君の?

 環君から発せられたとは思えないけど、声が環君そのもの。

 唖然としている私に環君はドスの利いた声のまま、男の人たちに言い放った。

「さっさとどっかに行ってくれない?目障りだよ。」

「……っ、行くぞ!」