お姉ちゃんは私が出る間際、何やら意味深な笑みを浮かべて手を振った。



 環君、どこだろ……。

 駅に着いたはいいものの人が多くて探すのが困難。

 休日ということもあり、駅は混みあっていて人の波にまみれないようにするのがやっとだった。

 もうすぐ時間なのに、これじゃ環君に迷惑が……。

 そう考えてどうしようかと悩み始めたとき、男の人に声を掛けられた。

「ねぇ、君一人?」

「はい?」

 驚いて視線を声のしたほうに向けるとそこには二人の男の人がいて、何やらにやにやと笑みを浮かべて立っていた。

「あの……何ですか?」

 道に迷った……ってわけではなさそうで妙な不信感を覚える。

 何やら嫌な予感がして、一歩後ずさりしようとした時目の前の男の人に手を掴まれた。

「これから俺らと遊ばない?いいとこ、連れてってあげるよ?」

「……っ、離してください。」

 力が強くて下唇を噛み締めながら毅然と言い返す。

 だけど男の人たちには全く効いておらず、恐怖が渦巻いた。

「私、人と待ち合わせをしてるので……っ。」