「あ!もしかして慶君と仲良くなりたいの?だったら私から話しつけようか?」

 ……はぁ。

 この鈍感は病気かもしれない。

「澪、そんなことあるはずない。」

 恋敵(ライバル)と仲良くなりたいだなんて……死んでも思わない。

 何も知らない澪は純粋無垢な目で「違った?」と可愛く尋ねてくる。

 ……我慢、出来ないかも。

 だけど外だということもあり、ぐっと我慢して澪を家まで送る。

 その最中、話こそしなかったけど本当に澪は可愛かった。

 付き合いだしてから更にそう思うようになり、俺の独占欲は深くなるばかり。

 澪は全く知らないようだけど、いつかそのうちに分かるはず。

 鈍感だからそれがいつになるのかは分からないけど……絶対に分からせるから。

 ……だから、俺の愛だけ受けててね?

 可愛く空を見上げながら歩いている澪はもちろん俺がそう思っていることは知らない。



「じゃあ環君、えっと……日曜日にね。」

 恥ずかしそうに視線を下げてそう言ってくれた澪に息が詰まった。