ふーん、まぁ別にそれは構わないけど……。

「そんなことはありえないから。」

 澪が好きすぎてたまらない俺のことだからそんなことは絶対にさせない。

 澪が別れたいって言っても離さないから。

 俺が薄っすらと笑みを浮かべて言い放つと、その子は負けじと言い返した。

「絶対に奪いますから。覚悟はしておいたほうが良いんじゃないですか?」

「ふふっ、せいぜい頑張ってね。」

 宣戦布告、前にもされた気がするけど全然効かない。

 その心意気だけは讃えてあげても良いけど……簡単には奪わせないし渡さない。

 ……絶対に、ね。



「そういえば、さっき慶君と何話してたの?」

 さっき?……あぁ、あの事か。

 あの子といるところを帰ってきた澪に見られちゃったんだっけ。

 澪は不思議そうに首を傾げて俺に聞いてくる。

 ……んー、なんて答えればいいんだろうか。

 宣戦布告を受けてた、なんて言えないし澪のことだとも言えるわけがない。

 言い訳を考えこんで唸っていると、澪が隣で思いついたように言った。