冷酷少女の複雑な恋模様

「び、びっくりはしたけど……環君に触れられて、嬉しかった……。」

 さっきのキス、驚きもしたけど一番最初に浮かんできた感情は”嬉しい”だった。

 愛されてることを実感して、幸せな気持ちになれた。

 だから……嫌なんかじゃない。

「澪……。」

 私の言葉を聞いて何かを考えこむようにした環君に首を傾げる。

 私、変なこと言った……?

 そう考えて唸っていると、突然私の体が動かされた。

 優しく強い力で近くの壁に押さえられ、身動きが取れなくなる。

 目の前には綺麗に整った環君の顔が。

「……っ。」

 さ、流石にこの距離で赤面しない人はいないと思う。

 顔を隠そうにも身動きが取れない以上、何もすることが出来ない。

「はぁ……どうして俺を誘うようなことばっかりしてくるの?もう心臓もたないんだけど。」

「さ、誘う……?」

 何に誘うんだろうか?

 真剣にそう考える私に、環君は困ったようにため息を吐いた。

 また困らせてしまったんだろうか……どうしたらいいの?

 うーんと考えていると、突然環君の顔が近づいてきた。