冷酷少女の複雑な恋模様

「え……?」

 可愛い、こと?

 言われた言葉の意味が分からなくてあたふたと視線を泳がせていると環君はため息とは違う息を吐いた。

「澪が抱き着いてきて、俺心臓止まるかと思ったんだからね。澪が可愛すぎて、歯止め利かなくなっちゃっても知らないよ?」

 は、歯止め……?

 何の歯止めだろう?と考えたけど、きっと迷惑をかけたのは事実だからいたたまれない。

「た、環君、ごめん……っ!?」

 謝ろうと謝罪の言葉を口にした時、環君が何故か顔を近づけて私の唇に……自分の唇を重ねてきた。

 ……へっ、何が起こって……っ!?

 現状を理解できていない私をよそに名残惜しそうに環君は唇を離し、愛おしそうな視線を向けてくる。

「澪、謝ったらお仕置きだって言ったでしょ。」

「お、しおき……?」

 一瞬理解するのが遅れたけど、この前のことを思い出してやっと意味が分かった。

『謝ったらお仕置きするからね。』

「お、お仕置きってそういう……?」

 勝手に痛いものだと勘違いしてたけど、まさか……キスだなんて思わなかった。

 何でキスがお仕置きなの?と思ったけどそれ以上に恥ずかしさが邪魔して聞けれなかった。