「あの子、良い子だね。」

「……うん、間宮君は本当良い友達だよ。」

 率直な感想を口に出して言う。

 間宮君にも幸せになってほしいな……なんて考えていると拗ねた声が聞こえてきた。

「……俺といる時くらい、俺のことだけ考えててよ。」

 ……話を振って?きたのは環君なのに、なんて暴論な。

 そう思ったけど、私だってそう思うかもしれないと考えてみると言葉に詰まってしまった。

 環君に不安な気持ち、させちゃいけないよね。

 ……よし。

 私はそんなことを考えて、急いで環君と一緒に学校から出た。

「み、澪……っ?」

 環君の戸惑った声は聞かないふりをしてそのまま建物の影になっているところに環君を連れて行く。

 こ、ここなら私でも……。

 周りに人がいないことを確かめてから、私は環君に自分から抱き着いた。

「……澪?」

 驚いたような声で名前を呼んでくる環君に、心配をかけないように言葉を伝える。

「環君に言われなくても、私は環君のことしか見えてない。だからそんな……心配そうな顔なんかしないでよ。」