……二人とも、本当にありがとね。

 そうだ、”あの人”にも感謝を伝えなくちゃ……。

 そんなことを考えていると、突然体が引き寄せられた。

 ……!?

 訳が分からなくて咄嗟に体を動かせずにいると、頭上から”あの人”の声が聞こえた。

「ふふっ、俺の澪にちょっかいかけないでくれる?」

 ……デジャヴ。

 ふっとそれが頭に浮かんで、はっと我に返る。

 いや、そんなことを考えてる場合じゃない!

 自分で喝を入れて間宮君のほうに視線を移すと、間宮君はふっと微笑みを浮かべて歩き出した。

「二人とも、幸せになってくださいね!」

 そう言い残し、校門へと向かっていった間宮君。

 しばらくきょとんとしていたけど、さっきの言葉を理解して顔に熱が集まる。

 ……っ、幸せになってくださいって……は、恥ずかしすぎる。

 嬉しいことこの上ないけどあんなに堂々と言われたら流石にこうなってしまう。

「ねぇ澪、あの子知り合い?」

 あの人……環君にそう問われて素直に首を縦に振る。

 環君は少しだけ思案したように考える仕草をすると、いつもの眠たそうな表情で微笑んだ。