それと同時に、いっちゃんの温かさを知った。

「いっちゃん……ありがと。」

「!……ふふっ、どういたしまして!」

 私がお礼を言うとは思ってなかったのか、目を見開いているいっちゃん。

 なんだかその様子がおかしくて、私はぷっと吹き出した。

「あははっ、いっちゃん驚きすぎ。ふふっ。」

「み、澪ちゃん、笑いすぎ……。でも、澪ちゃんが幸せなら私も幸せ。」

 いっちゃんが何か言ってるけど、ツボにハマってしまった私には届かなかった。



 下校時刻になり、昇降口で環君を待つ。

 環君は先生に呼ばれてしまったから「先に帰ってて。」と言われたけどどうしても一緒に帰りたくて今に至る。

 夏だから日はまだ高く、夕方なのにもかかわらず太陽が照り付けていた。

 夏だなぁ……。

 そんなことを思ってボーっとしていると突然、誰かに名前を呼ばれた。

「あっ、風音先輩!」

 へっ?

 驚いて声のしたほうに視線を向けると、ユニフォームから制服に着替えたであろう間宮君が近付いてくるのが分かった。