その言葉を聞いて、うっと言葉に詰まった。

 私もついこの前まで人に恋するなんて考えてなかったし、誰かを好きになるなんて……思ってもなかった。

「私も、自分の気持ちが未だ追い付いてない……。」

 そんな自分が信じられなくて、ぽつりと言葉を零すといっちゃんが凄い速度で反応した。

「だけど澪ちゃんが恋するなんて、私としてはこれ以上ないくらい嬉しいよ!だって誰でも冷たく振る舞ってた澪ちゃんが誰かを好きになって恋に落ちるなんて……友達の立場からしたらすっごく嬉しい!」

「嬉しい……?」

 何でいっちゃんが嬉しくなるんだろう、自分のことでもないのに。

 良心がちょっと欠けている私はそう思っていっちゃんの言葉を繰り返した。

 意味が分かっていない私にいっちゃんは「そう!」と言って話し出した。

「友達の恋って結構嬉しいものなんだよ?それが恋しないって言ってた子なら尚更。うーん、例えるなら自分の子供の夢が叶った時みたいな親の嬉しさ?って感じかな。」

 親……それはちょっと違う気もするけど、いっちゃんの言いたいことが分かった気がした。