私の勘違いなんだから、環君が謝ることじゃない。むしろ、悪いのは私のほうで……。

「私のほうが謝らなきゃいけないの。勘違いなのに避けてて……本当にごめんなさい。」

 そうやって言葉を発すと、環君はおもむろに私の頬を撫でてきた。

 その愛おしそうに見つめる視線とぶつかり、恥ずかしくてふいっと目を背ける。

 環君はそれを面白そうに笑ってからこう言った。

「だから、澪は悪くない。お願いだから、そんな悲しそうな顔しないで?」

「え……?」

 私、そんな顔してた……?

 自分では気付くことが出来ないから、指摘をされてようやく気付く。

 うっ、申し訳なさが増す……。

 そう思って謝ろうと口にしかけた、環君が被せるように言ってきた。

「澪、今から謝るの禁止。謝ったらお仕置きするからね。」

「お、お仕置き……。」

 謝れないのは嫌だけど、痛いのはもっと嫌。

「わ、分かった……。」

 苦い顔で渋々了承した私に、環君は嬉しそうに笑顔を浮かべた。

「うん、良い子良い子。」

 ……子ども扱いされてる気がするけど、お仕置きよりも全然こっちのほうが良い。