風音さん以外にはもちろんこんなこと言わないし、言いたくもない。

 風音さんは俺の言葉を聞いて、「……っ。」と言葉を詰まらせた。

 ……ふふっ、もう、可愛いなぁ。

 そう思って微笑んでいると、風音さんはおもむろに可愛い笑顔を向けてくれた。

「なら……私のほうこそ、付き合ってください。」

 ……っ、不意打ちは良くないって。

 そんなこと言えるはずもなく、俺はまた風音さんを抱きしめた。

「じゃあ今日から風音さんは俺の、だね。」

 耳元でそう囁くと風音さんはビクッと肩を揺らした。

 あーもう、可愛すぎ。……意地悪したくなる。

「可愛い可愛い、俺の澪。もう絶対に離さないから。」

「い、今名前……っ!?」

 突然呼び方を変えたからか、そんな声が聞こえてくる。

 そりゃあ、付き合いだしたんだからこれくらい許してよ。

「澪も、名前で呼んで?」

 呼び捨てまではいかなくてもいい。だけど苗字呼びは他人行儀だから嫌。

 そんな気持ちを込めて見ていると、澪はゆっくりと口を開いた。