「……別に。」

　曖昧な返事を返されて、更に疑問は深まるばかり。

　言葉を濁すっていうことは、何かがあってそれを隠したいからだと俺は思ってる。

　その隠された真実は、やっぱりだけどそう簡単には教えてくれそうもない。

　だけど、こんなところで引くわけにもいかない。

「俺、風音さんに何かした？」

　俺が気付いてない何か、それがあるんだったら教えてほしい。

　不満なんてたくさんあるだろうから、言われる覚悟は出来てる。

「ない。」

　……え？

　何かを言われることはあるだろうと思っていたけど、食い気味に否定されて思わず不思議に思う。

　こんなにはっきり言うってことは……何かをやってしまったとしか考えられなくなる。

　ない、なんてことはないだろうけどこれを使わない手はない。

「本当に何にもないの？」

「……ない。」

　再度同じことを聞いてみるけど、これまた否定。

　だけどさっきよりも勢いが減った気がする。

　よし、このままいけば何かを聞き出せるかもしれない。

　俺はそう思って、関連することを聞いてみた。