好きな子に避けられて、へこんで、何も聞けずに嫌われたら……本当にどうかしちゃいそうだ。

 臆病になんか、なっていられない。風音さんに嫌われるほうが、俺にとっては死活問題だから。

 そう自分を奮い立たせ、意を決して風音さんに歩み寄った。

「風音さん。」

 名前を静かに呼んで、注意を俺のほうに移させる。

 風音さんは一瞬だけ動きを止めたけど、視線を俺から外したまま冷たく聞いてきた。

「何。」

 いつもよりも迷いがなくて、断ち切るように言い放たれた言葉にやっぱり違和感を覚える。

 風音さんはこんなことを平気でできる人じゃない。こんなに冷たくなんかない。

 ……だって、その証拠に瞳が揺れているから。

 落ち着きがなくて、何かに怯えているように見えてしまう。

 風音さん、君は何に怯えているの?

 そう思いながら、俺は口を開いた。

「風音さん、どうして俺を避けてるの?」

 まず一番聞きたかったことを始めに聞く。

 何で避けてるかが分かれば、それだけで十分。

 なのに、風音さんは冷たく一言言い放った。