こんなところで好きな子を避けていたら、本当に好きなのかって姉さんに喝を入れられそうだし、第一俺だってこの状況は結構まずいと思っている。

 こんなんじゃ、風音さんに嫌われそうだし。

 俺は一人、そんな決意を固めて明日に備えた。



 放課後になり、いつもと同じように風音さんと鉢合わせる。

 この前までだったら、「珠洲島君、お疲れ様。」なんて言ってくれていたけど今は視線も合わせてくれない。

 ……風音さんに無視されると、凄く心が痛む。

 話しかけようって思った時が一番良いのに、これじゃあいつまでたっても話しかけることなんてできない。

 風音さんは相変わらず、黙々と作業をこなしていて表情を変えることなんてない。

 それに今、風音さんから妙なオーラが出ていて図書室内がいつもよりもピリついている。

 ……やっぱり聞いてみたほうが良いよね。

 何で最近冷たいの?どうして避けてるの?

 それだけをただ聞けばいいはずなのに、息が詰まってしまう。

 ……何でこんな、臆病なんだろう。