悲しくて、何かを我慢しているような、そんな思いつめた表情。

　いつ見てもそんな顔をしていて、やっぱり何かあったんじゃないかと考えてしまう。

　せめて帰りだけは一緒に……なんてことはなくて、風音さんは一人でいつの間にか帰ってしまっている。

「……風音さん不足で死にそう。」

「何変なこと言ってるのよ、環らしくない。」

　隣でその話を聞いていた玲姉さんがそんなことを言ってくる。

　俺らしくないって言い方はちょっと癪だけど……確かに言われればそうかもしれない。

　あんまり弱音なんて吐いたことないし、ましてや人のことでここまでなるとは俺も想定外だった。

　……それだけ、風音さんを好きだってことなんだろうけど。

　はぁ……と深いため息を吐いて、気持ちを落ち着かせていると玲姉さんがこんなことを言ってきた。

「さっきの話聞いてる限り、多分だけど非は環にあると思う。だってその澪ちゃんが急に態度変えるなんておかしな話だもの。あんたのことを避けてるって感じてるなら尚更ね。心当たり、本当にないの？」