冷酷少女の複雑な恋模様

 はぁ……と息を整えて、自分の心臓を抑える。

 嫌な音を立ててドキドキと鳴っている心臓に、また苦しくなった。

 珠洲島君の用事って、もしかしてあの人と会うこと?

 そう考えてからはっと我に返って、頭を左右に降る。

 別に珠洲島君が誰と会おうが私には関係のないこと。今日の用事も、違うものの可能性だって高い。

 きっとあの女の人は珠洲島君と親しい人で……。

「……って、何でこんなに気にするの?」

 私には関係ない。これは珠洲島君のこと。

 そう割り切れるはず……だけどどうして、こんなにも苦しいんだろう。

 珠洲島君とは仲のいい友達。それ以上でもそれ以下でもない。

 ……だから、気にするのはやめよう。

 私はそう思い、まだモヤモヤが残っていることから目を背けた。



 その日から何故か珠洲島君が早帰りをすることが増え、二人で帰ることが減ってしまった。

 珠洲島君はいつも申し訳なさそうに私に謝ってくるけど、そんなのは全然気にしない。

 だって用事があるなら仕方ないもの。

 だけどそのことと比例して、心臓に妙な違和感を覚えることが増えた。