溺愛の意味もよく分からないけど、多分違うと私は思う。

「いや、絶対そうでしょ!じゃなきゃデートに誘ったりしないって!」

「え……そう、なの?」

 いっちゃん、いつにも増して自信満々……。

 溺愛?じゃないと思うけど、甘いとは私も思う。

「デートかぁ、青春だねぇ。」

 感慨深げに息を吐いたいっちゃんに私も聞いてみる。

「いっちゃんはそういう人……っていないの?」

「え?ううん、いないよ。」

 うーん、前も思ったけど意外だ。

 いっちゃんほどの人ならそういう人がいてもおかしくないと思うのに……。

「私はね、自分の恋より友達の恋のほうが気になるの!だから澪ちゃんの恋模様が面白くて仕方ないの!」

 それも前に聞いたような……と思ったけど口には出さずに相槌を打つ。

「へ、へぇ……そうなんだ……。」

 私の返答に不満そうにしながらも嬉しそうに顔をにやつかせるいっちゃん。

 そんないっちゃんを不審に思って、嫌な汗が流れる。

「澪ちゃん!デートの報告待ってるからね!」