「元から、風音さんしか誘わないつもりだったし。」

「……っ。」

 私の耳に入ってきた声はいつもの珠洲島君の声じゃなく、凄まじく甘い声で思わず固まってしまった。

「風音さん?」

 急に固まった私を珠洲島君が呼んでくれ、やっとのことで我に返った。

「い、今のって……。」

 自分の耳を押さえながら聞いてみると悪戯っ子のような笑みが返ってきた。

「ふふっ、ちょっと意地悪したくなったの。」

 ……や、やっぱりキャラが崩壊してる……珠洲島君の。

 流石に甘すぎ、というか性格が変わってるとしか思えなくて頭を抱える。

 あ、甘すぎるのも勘弁していただきたい。

 うー、このままここにいたら恥ずかしくてどうにかなりそう。

 私は恥ずかしさを隠すために、「もう帰ろう!」と勢いよく言って珠洲島君を引っ張って学校を出た。



「デートのお誘いじゃん。甘いね~珠洲島君。溺愛じゃない?」

 遊園地に誘われたことと珠洲島君の豹変ぶりをいっちゃんに話すとそんな言葉が返ってきた。

「違うと思う。」