「ったぁ~、定期考査終わった~!」

 そう言って歓喜に震えているのは紛れもない、いっちゃんだ。

「今回手ごたえ凄かったんだよ!澪ちゃんのおかげだよ~!」

「そ、そう?なら良かった。……って肩揺さぶらないで!」

 大声でそんなことを言ってくるのはまだ良い。

 だけど肩揺さぶられたら流石に酔うからやめてほしい。

「あはは、ごめんごめん。でも本当に今回は良い点とれそうなの!」

 私に顔を近づけて一生懸命熱弁しているいっちゃん。

 私は相槌を時々入れながら話を聞いていた。

「何はともあれ、無事に終わって良かったね。」

 いっちゃんにそう言って微笑むといっちゃんに「澪ちゃん大好き~!」と言われて抱き着かれてしまった。

「いっちゃん、苦しい……。」

 酸素がなくなりそうなほど抱き締められいっちゃんの腕をパンパンと叩く。

「わっ、ごめん!澪ちゃん大丈夫!?」

 ……どうやら彼女は天然らしい。

 この時初めていっちゃんのことをそう思った。

 珠洲島君も無事にできたかな……そんなことをぼんやりと思いながら放課後を待った。