この前もそうだったけど、結局何なの。この胸の高鳴りは。

 自分にそう聞いてみるも、返ってくる返事は同じ。

 分からない、と。

 分かるものなら分かりたいんだけど、高鳴りの原因に心当たりが全くない。

「……風音さん?」

 ぼーっと考えていると珠洲島君に名前を呼ばれた。

 多分、私が急に黙ったからだと思う。

「あ、ううん。何でもない。」

 あははと笑みを見せると珠洲島君は心配そうにしながらも「そっか……。」と言ってくれた。

「何かあったら、言ってね?」

「う、うん……。」

 言い聞かせるようにそう言われて思わず首を縦に振る。

 珠洲島君は返事をした私に対して、突然手を伸ばしてきた。

 何をされるんだろうとつい一瞬身構えてしまう。

「……え?」

 だけど私が心配していたようなことは起こらず、珠洲島君に手が自分の頭を撫でていることに気づいた。

「風音さん、ちょっと休憩しよっか。」

 不意にそう言われて無言で頷く。

 そんな私の頭を軽く撫でてから珠洲島君の手が離れた。