冷酷少女の複雑な恋模様

 いっちゃんの説明の何倍も理解できている気がする……。

 私も一応は珠洲島君に文系科目を教えているけど、教え方に保証はない。

 人に教えることなんて滅多にないからその分余計に。

 いっちゃんからは「澪ちゃんの説明、すーっごくよく分かるよ!」と言われたけど、お世辞だと言うことは分かっている。

 流石にいっちゃんほど下手ってわけでもないと思うけど……。

「珠洲島君、私の教え方で分かる?人に教えることなんてないから上手く説明できてるか分からなくって。」

 正直に聞いてみると、珠洲島君は一瞬きょとんとした顔をしてから頬を緩めた。

「うん、よく分かるよ。むしろ俺のほうが下手だと思うけど。」

「そ、そんなことない!珠洲島君の教え方凄く上手いよ!」

 変なことを突然言い出した珠洲島君に慌てて首を横に振る。

 珠洲島君の教え方のほうが私よりも上手いのに。

 そんな私を見て珠洲島君はクスリと微笑んだ。

「そっか。なら良かった。」

「……っ!」

 その微笑みを向けられて、またドキッと心臓が高鳴る。