冷酷少女の複雑な恋模様

 お、恩って……別に入試でもあるまいし……。

 そう思ったけどいっちゃんがやる気になってくれたことにほっとした私は、その言葉を飲み込み「いっちゃんも頑張るんだよ?」と代わりに言った。

「もっちろん!澪ちゃんに教えてもらったほうがやる気も上がるし、絶対良い成績が取れると思うの!」

 自信満々に熱弁するいっちゃんに私は苦笑いを浮かべるしかなかった。



 それにしても、定期考査かぁ……。

 図書委員の仕事をしながらふと、そんなことが脳裏をよぎった。

 いっちゃんとはあれからお昼休みに勉強会をすることになったし、順調だと思う、けど……。

 私だってテスト勉強、したい……。

 今回のテスト範囲、理系が本当に難しい場所からばかり出ているからいい成績が取れる気がしない……。

 いっちゃんは理系が得意だから教えてもらおうとも試みたけれど。

『私、澪ちゃんに教えらるほど頭良くないの!私だって澪ちゃんに教えたいのに~!』

 一回そう言って駄々をこねられたことがある。

 その後にざっくりと教えてはもらったけど……意味が分からなかった。