冷酷少女の複雑な恋模様

「澪ちゃん、いや澪先生!私に勉強を教えてください~!」

 ……こう来ると思った。

 いっちゃんのことだから何かしら頼み事をしてくると思ったけど、まさか先生をしろとは。

 期待の眼差しで私を見ているいっちゃんにちょっとだけ情けなくなった。

 いっちゃんにはプライドと言うものはないのかもしれない。

「いや、いっちゃん。そんなに期待されても困る……。」

 素直に告白すると、いっちゃんはまた不貞腐れてしまった。

「だっていっちゃんは編入試験を満点で突破したんだからいいと思うけど、私はあんまり成績良くないから学年トップの澪ちゃんに教えてもらおうと思ったの!」

 うぅ、今度は逆ギレをされてしまった。

 だけど、頼られているんだと思うと少しだけ嬉しくなった。

「どうか!お願いします、澪先生!」

「……わ、分かったよ。教えたらいいんでしょ?」

 私はとうとういっちゃんの勢いに飲まれてしまって、了承せざるを得なくなってしまった。

「さっすが澪ちゃん!ありがとう!この恩は忘れないからね!」