今日の昼、風音さんに好意の視線を向けていた人。

 見た感じは一年生だと思う。

 何の用で……そう思っていたら、その子が俺のほうに向かって歩いてきた。

「ふふっ、先輩。今日のお昼はお世話になりました。」

 明らかにお昼の時と雰囲気が違う。

 目の前の彼は、嫉妬と独占欲にまみれている表情をしている。

 相当、風音さんにご執心といったところかな。

 ……だけど、身を引くなんて考えないけど。

 俺と彼の間にバチバチと火花が散っている。

「言っとくけど、澪は俺のなんで。先輩には渡しませんよ。」

 宣戦布告のように告げられた言葉に、ふっと笑う。

「風音さんは君のことを弟のようにしか思ってないよ?」

「……っ。」

 年下にこんなことを言うのは気が引けるけど、流石に黙って取られるわけにはいかない。

「……それでも、俺のほうが澪と仲いいから先輩に付け入る隙なんて無いとおもいますけど?」

 ……この子、急所を確実に狙ってきたな。

 確かに彼の言い分は痛いほど分かる。

 風音さんは彼と知り合いみたいだったし、仲が良いのも時間の共有も彼のほうが圧倒的に上だろう。