「……うん、分かった。」

 少し寂しいなと思いながらも、流石にお姉さんにまで嫉妬したくないから俺は平常心を保ってにっこりと微笑んだ。

 風音さんは「ありがとう。ほんとにごめんね。」と言ってから図書室から出て行った。

 風音さんのいなくなった室内で、ふぅ……と息を吐く。

 俺、こんなに独占欲強いほうだっけ。

 男に嫉妬するならともかく、お姉さんにまで妬くとか……相当重症だと思う。

 でも、そのおかげで風音さんに気持ちを伝えられた。

 その場の勢いで風音さんを縛るようなことを言ってしまったけど……他の男のものになるなんて、本当は耐えられない。

 風音さんの意見なんか無視しちゃったけど、少しは風音さんに期待してもいいのかな。

 あの時の風音さん、否定も拒否も何にもしなかったから……期待くらいはしても良いんだよね。

 風音さんも俺と同じ気持ちだったらいいのに、なんて夢物語を想像していると図書室の扉がガラッと開く音がした。

 風音さんは帰ったばっかりだし誰かな?と思って振り返るとそこには今一番会いたくない人がいた。