可愛いと思えば可愛いと口に出せる、今の関係に満足していた。

 風音さんはと言うと、俺の告白を真に受けてないような表情をしている。

 だけど俺の言葉にいろんな反応を見せてくれるからそれが面白くて、彼女の魅力だ。

 そんな彼女に笑みをまた零し、図書室での時間を過ごす。

 その時、風音さんのスマホがピリリリッと音を立てて鳴った。

 慌ててスマホを出し、俺に「ごめんね。」と言ってから電話に出る。

「もしもし。」

 風音さんは離れたところにいるけれど、聞こえない位置ではないので小さい音ながらも聞こえた。

「お姉ちゃん、どうしたの?」

 どうやら相手はお姉さんらしい。

 そんなことで安堵しつつ、話を盗み聞きする。

「えー、また貧血?で、何したらいいの?……お姉ちゃん、大丈夫じゃないでしょ。」

 風音さんはお姉さんのことを気遣いながらできるだけ簡潔に済ませ、俺のところに戻ってきた。

「珠洲島君、悪いんだけど先に帰ってもいい?お姉ちゃんがまた貧血で倒れたらしいから、看病したくって……。」