そんな姿も愛おしいと思ってしまう俺はきっと末期。

「うん。風音さんのことが好き。」

 追い打ちをかけるようにそう言うと、風音さんは顔を隠してしまった。

「うー。」

 そんな声を小さく漏らし、必死に恥ずかしさに耐えようとしている姿にクスっと笑う。

 ふふっ、本当に可愛い。

「でも、私……。」

 風音さんが顔を隠したまま、俺に何かを言おうとしている。

 その何かは、俺には分かることだった。

「返事は要らない。ただ、伝えたかったの。」

 きっと、風音さんは俺のことをただの友達だと思ってる。

 返事が欲しくないって言ったら嘘になるけど、風音さんが大事だから困らせたくない。

 他の男に取られるよりは、ましだから。

「そろそろ出ようか、風音さん。」

 俺はそう言って風音さんの手を引く。

 風音さんは「あ、うん……。」と小さな声でそう返してくれた。



「ふふっ、風音さん可愛い。」

「……珠洲島君、キャラ変わってない?」

 そんなやり取りをしていた放課後。

 確かに、気持ちを伝えたからもうタカが外れたからだと思う。