俺の目の前には、大きな瞳をこれでもかというほど見開いて驚いている風音さん。

 彼女がどうしてこんなに驚いているのかというのは……俺が、勢いで告白したから。

 あの子……風音さんと楽しそうに話していた子に、俺は嫉妬した。

 嫉妬なんて可愛いものじゃないかもしれない。

 ドスのかかった黒い感情が体の中に充満する。

 はっと我に返ると、俺は風音さんを後ろから抱きしめていた。

 あの子に挑発されるような声色で言われて、軽くあしらう。

 その時に見たあの子の瞳。恋に落ちている人の瞳だった。

 風音さんを愛しそうに見つめて、愛らしそうに触れる彼に嫉妬がまた増える。

 唯一、風音さんだけは理解してない様子でここまでついてきてくれた。

 嫉妬した。本当はその言葉を言いたくなかった。風音さんの前では。

 言ってしまったら風音さんにまた嫌な思いをさせちゃうかもしれないから。

 だけど、もう我慢が出来なかった。

 勢い任せで言った言葉だったけど、俺は本気で思っている。

「あ、ありがとう……?」