「……嫉妬した。」

「…………へ?」

 言葉の意味が急には理解できず、頭の中で反芻する。

 嫉妬した?誰が?誰に?

 何も分からず、目的語だけの言葉にはてなマークしか浮かんでこない。

 訳が分からず、瞬きを繰り返していると珠洲島君がもう一度言った。

「あの子に、風音さん取られたって思って……嫉妬した。」

 …………ふぇっ!?

 取られたって……ど、どういう意味で……?

 あの子はきっと慶君のことだと思う。

 だけど……。

「どうして、嫉妬?」

 嫉妬する要素なんてないはず。

 あ、強いて言えばおもちゃを取られたときみたいな感覚の時かな。

 うん、絶対そうだ。そうに違いない。

 嫉妬した理由を聞きたくてそう聞くと、珠洲島君は一呼吸おいてからゆっくりと唇を動かした。

「――俺が、風音さんのことが好きだから。」