そこは今は使われていないだろうと思われる空き教室で、私は珠洲島君に手を引かれるまま中に入った。

 こんなところに連れてくるなんて……どうしたんだろう?

 わざわざ人がいないところまで連れてきて……、そういうこと?

 ある一つの可能性が頭に浮かんだ。

 もしかして、何か嫌なこととかがあったのかな?

 だけど……そうだとしても私を連れてきた意味とは。

「珠洲島君……どうしたの?」

 何が何だか分からなくて、素直に聞いてみる。

 私の質問に珠洲島君は少しの沈黙の後、私の肩に頭を乗せてきた。

 ……っ。

 言葉にならないような驚きをする私。

 今起こっていることが、現実ではない気がしたから。

 今の状況も相当だけど……本当に何があったの!?

 聞いてみようとして口を開きかけた時、珠洲島君が言葉を発した。

「……た。」

「え……?」

 よく聞こえなくて、思わず珠洲島君に聞いてしまった。

 でも、何を言ったのかは気になる。

「本当に、どうしたの?」

 そう諭すように聞くと、珠洲島君はゆっくりと言葉を紡いだ。