「ふふっ、別に~。」

 珠洲島君、笑っているようだけど……目が全く笑ってないっ!

 あ、これ、どうすれば……。

 板挟み状態の私はどうすればいいか分からず、おろおろしている。

 その時、珠洲島君が私の手を取って立たせた。

「風音さん、行こ?」

「え、でも……。」

 慶君を置いて行ったらなんだか申し訳ない気持ちになるんだけど……。

 そう言おうとしたけど、珠洲島君は有無を言わせないような表情で聞いてきたので、私は圧に耐えれず頷いてしまった。

 やっぱり、珠洲島君なんだか変だ。

 珠洲島君は慶君に何かを耳打ちした後、私の手を取って図書室から出た。



 珠洲島君に手を引かれ続け、現在歩いている。

 どこまで行くんだろう、そう思って珠洲島君に声を掛けてみる。

「す、珠洲島君。どこまで行くの……?」

 さっきのこともあり、控えめに聞いてみる。

 珠洲島君は私の言葉に一瞬だけ体を震わせたが、何事もないように歩き続けている。

 え……なんか余計に怖い……。

 不審に思っていると、珠洲島君はある部屋の前で足を止めた。