私はそう思うことにして慶君の隣に座る。

 それにしても……あのドキドキは何だったんだろう?

 忘れかけていたことが不意に頭に浮かんではっとする。

 本当に心臓病とかだったら……病院に行ったほうが良いよね。

 うーん、でもすぐに治まったしなぁ……。

 一人頭を唸らせていると、慶君が急に私の頬を撫でてきた。

「ふぇっ?」

 急すぎて変な声を出した私に、慶君はクスっと笑う。

「ふふっ、澪変な声。」

「そ、それは慶君が急にほっぺた撫でてきたからでしょ。」

 そう反論するも、慶君は未だ笑っている。

 何がそんなにおかしいのやら……。

「澪のほっぺぷにぷに。」

 にこにこしながらまだ飽きずに私のほっぺたを触っている。

 ぷにぷにって……褒められているのか貶されているのか分からない……。

 地味にショックを受けている私に、慶君は聞こえないくらいの声で何かを言った。

「澪、可愛い。」

「ん?」

 気になって聞いてみるけど慶君は「何でもない。」と言って微笑んだ。

 な、何だか変な慶君……。