冷酷少女の複雑な恋模様

 慶君は私の言葉を聞いてふにゃりと笑う。

「ふふっ、やった。……澪と一緒にいられる。」

 最後のほうはよく聞こえなかったけど、嬉しそうで何よりだ。

 慶君、なんだか弟みたい。

 これはいつも思うこと。まぁ、真美さんの弟だから当たり前なんだけどね……。

「澪?どうしたの?」

「へっ?」

 考え事に耽っていた私に、慶君が不思議そうに聞いてくる。

「急に黙るから、びっくりした……。」

「そ、そう……?」

 びっくりさせちゃったのは申し訳ないけど、そんなに驚くことなのかな?

「澪に、会えなくて寂しかった……。」

 慶君が泣きそうな顔でそう言ってきて、確かになぁ……と思う。

「ごめんね、忙しくしててなかなか会いに行けれなかった。」

 正直に自分の気持ちを口にして謝る。

 慶君、いつも楽しみにしててくれてたからなぁ……。

「ううん、大丈夫。澪に今日会えて良かった……。」

 ふふっ、私に会っても何にも良いことなんかないのに。

 でも、慶君は嬉しそうなら……まぁ、良いか。