冷酷少女の複雑な恋模様

「どうしたの?慶君が来るなんて意外だね。」

 本とかはあんまり読まないって言ってた気がするけど……調べものかな?

 慶君は私の言葉に一瞬だけ俯いた。

「ちょ、ちょっとね……。」

 曖昧にする慶君に「そっか。」と短く返す。

 でも、こんな奥で本を読んでいるってことはあんまり人に見られたくなかったのかもしれない。

 真美さんからの話によると慶君は人見知りの節もあるから、結構臆病だと。

 確かにそうかもしれない、と失礼ながらも納得させられる言い分。

 私は慶君に気を遣わせないように別の本棚に向かおうとした……けど。

「……慶君?」

 慶君に袖を引っ張られてしまって一瞬動けなくなった。

 どうしたんだろうと慶君のほうを向くと、慶君は小さく零した。

「澪……行かないで。」

 甘えてくるような声色にびっくりしながらも、慶君は少し怯えているように見えてそっと頭を撫でた。

「……分かった。ここにいるよ。」

 こんな状態になった慶君は放っておけないから、慶君が落ち着くまでそばにいることに決めた。