お昼休みも意外と人は少ないから、過ごしやすいことが最近分かった。

 私は席から立ち上がり、何をしようかと考えながら図書室へと足を運んだ。



 いつものようにガラッと扉を開けて中に入る。

 まだお昼時だから日光が強く入ってくる。

 目を細めながら周りを見渡してみると、やっぱり人はおらずがらんとしていた。

 流石に珠洲島君もいないよね、お昼だし。

 あの人は何処でも寝られるから、多分教室辺りで寝ているんだろうと思う。

 何か本を読もうと本棚に近づいたとき、私はある人影に気づいた。

「あれ?慶君?」

 確かめるように人影に聞くと、人影はビクッと肩を揺らし、ゆっくりとこちらを向いた。

「み、澪……?」

 その姿はやっぱり慶君で、ふふっと零した。

 慶君は真美さんの弟で、私とも仲良くしてくれている。

 女の子のことを極度に嫌っていて、私以外とは話さないらしい。

 どうして?と前に聞いたことがあるけど「トラウマ。」と一言言われてしまった。

 私と似たような気持ちを持っていて、慶君には親近感が湧いている。