それでも……珠洲島君が言うように、癒される場所だと私は思った。

「公園なんて、久しぶり……。」

 私の家の近くには公園なんて場所はなくて、住宅が密集しているからいつも忙しない。

 そのせいか、この場所が新鮮に思えた。

 今日は本当に、久しぶりなことばっかりだなぁ……。

「珠洲島君、ありがとう。」

 珠洲島君のほうに向きなおり、お礼の言葉を口にする。

「俺は特に何もしてないけど……。風音さんが気にいってくれたらいいな。」

 珠洲島君は戸惑っていたけど、すぐにふわっと笑みを浮かべた。

 ……っ!?

 その時、言い表せないくらい心臓がドキッとした。

 え、え、何、さっきの。ドキッって……どういうこと?

 ま、まさか……心臓病!?

 心臓を慌てて押さえて確認してみるも、正常な鼓動が聞こえてくる。

 さっきのはなんだったんだろうと思い、首を傾げていると珠洲島君に声を掛けられた。

「風音さん、そろそろ帰ったほうが良いんじゃない?」

「……あ、確かにそうだね。」

 私はさっきの驚きを隠すために、珠洲島君に大きく返事をしてから公園を出た。