別に私はそういうことを聞きたいんじゃなくて……。

 目の前には私の姉、風音莉緒(かざねりお)が仁王立ちしていた。

 お姉ちゃんはモテるけれどこの通り、重度のシスコンで彼氏を作る気はないらしい。

 もったいないなぁ……といつも思うけれど、お姉ちゃんは全く気にしていないから私も気にしないようにしている。

「そういうことじゃなくて……どうしてお姉ちゃんがここにいるのか聞きたいの!」

 そうはっきり言うと、お姉ちゃんはぷくーっと膨れた。

「さっきも言ったでしょ、迎えに来たのよ。愛する妹の、ね。」

 やけに”愛する妹”の部分を強調していったお姉ちゃんにはぁ……とため息が零れた。

 お姉ちゃんの顔を見ると、物凄いドヤ顔でこっちを見ている。

 もうため息すら出す気になれず、私はお姉ちゃんの横を素通りして歩き出した。

「澪、ちょっと……!?」

 このやり取りに私は見覚えがある。

 なんか……朝のデジャブ……。

 私はそう思いながら夕日に照らされている通学路を歩く。

 お姉ちゃんも私の隣に急いでついてきて、隣を歩き出した。