「う、ううん。なんだか浮かれてたのが恥ずかしくなって……。」

 声を何とか絞り出したように、小さく掠れた声で言う風音さん。

 恥ずかしそうに俯いて固まっている彼女に愛おしさが溢れる。

 本当に……可愛い人。

 俺は改めてそう思い、こんなことを聞く。

「ふふっ、そんなに楽しみなの?」

 だってこれだけで浮かれるなんて、楽しみ以外の何物でもないだろう。

 そう聞いてみると更に縮こまってしまった。

 時折、彼女の指の隙間から真っ赤になっている顔が見え隠れしている。

 なんでこんな可愛いんだろう。

 恋は盲目、なんて言葉が存在するけど本当にその通りだ。

 風音さんがを見ていると、可愛いしか言葉が出てこなくなる。

 俺はそんな自分を落ち着かせるために息をゆっくり吐きだす。

 風音さんも落ち着いたみたいでまた歩き出した。

 俺も彼女の隣について歩き出す。

 風音さんはさっきよりは落ち着いているものの、まだ顔が輝いている。

 そんな彼女にふふっと笑みが零れた。

 風音さんは俺の熱視線になんて気づかず、楽しそうに歩を進めている。