まさか……こんなことになるとは。

 俺がこう思っているのにはある理由がある。

 それは、土曜日に風音さんと書店に行くことになったこと。

 先生に頼まれていくことになったけど……これってデートみたいだよね。

 風音さんのことが恋愛的な意味で好きだから、これは少し恥ずかしい。

 でも風音さんは結構乗り気だ。

 現に俺の隣でずっとにこにこしている。

 まぁ少し口角が上がっているだけだけど。

 それでも足取りがとても軽そうで、楽しそうにしている。

「あれ、風音さんなんだかご機嫌だね。」

 もしかして、とは思うこともあるけど気になってみたから聞くことにした。

 風音さんは俺の言葉ではっとして小さな声で呟いた。

「そ、そうかな……。」

 無意識だったのか、視線を下げて返事をしてくれる。

「うん。凄く楽しそうに見えたよ。」

 見たままの感想を伝えると、風音さんは両手で顔を隠してしまった。

「風音さん?」

 どうしたんだろうと思って彼女の名前を呼ぶと、こんな言葉が返ってきた。