私はお礼とお詫びを早口で言って、速足で図書室を後にした。



「ふぅ……なんとか間に合った……。」

 校門を駆け足で通って何とか下校時刻ギリギリに出ることができた。

 立ち止まってほっと安堵の息をついたけれど、あることが脳裏をよぎった。

 さっきの人、下校時刻とか大丈夫だったかな……私のせいで遅れたとかだったら申し訳ない……。

 基本、人には興味があまりないし少なからず嫌悪感をいつもなら抱いているはずなのに……さっきの人には何故か全く嫌な感じはしなかった。

 そのせいで不機嫌オーラを出すこともままならず、いたたまれなくなって逃げてきた感じになってしまった。

 どうしてだろう……いっちゃんにも最初は嫌悪感とかあったはずなのに……。

 歩きながらそんなことをぐるぐると考えていると、目の前に一つの影が現れた。

 私は一度立ち止まってその影を見上げる。

「……お姉ちゃん、なんでここにいるの?」

「あら、愛する妹を心配して迎えに来たのに……反抗期かしら。」

 私の疑問に欲しかった答えとは違うものが返ってきた。